ステーブルコインは、仮想通貨の世界で注目を集める重要な存在です。その中でも特に注目されているのが、米ドルと1:1の価値連動を目指す「USDC(USD Coin)」。ビットコインやイーサリアムと違って価格変動のリスクを抑えられるため、決済や資産保管、さらにDeFi(分散型金融)の分野などで活用が広がっています。
結論から言うと、USDCは米国のCircle社が発行する、規制に沿った運営と情報開示を重視したステーブルコインです。2026年10月時点の発行額は約730億ドルで、米ドル連動のステーブルコインではUSDTに次ぐ2番目の規模です。日本でも2025年3月からSBI VCトレードで日本円で買えるようになり、国内で正式に取引できる数少ない米ドル建てのステーブルコインとなっています。
この記事では、USDCの仕組みや特徴、USDTとの違い、日本での買い方、メリット・リスクをわかりやすく解説します。
USDC(USD Coin)とは?
- USDCは、アメリカのフィンテック企業であるCircle(サークル)社が主導して発行する、米ドルと1:1で価値を連動させることを目指した仮想通貨(ステーブルコイン)です。
- ステーブルコインとは、ビットコインやイーサリアムなどの価格変動が大きい暗号資産とは異なり、法定通貨などの価値に裏付けされた「価格が比較的安定した」トークンを指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | USD Coin |
| 通貨単位 | USDC |
| 発行元 | Circle社(米国、2025年6月にニューヨーク証券取引所に上場) |
| 発行開始 | 2018年 |
| 連動する資産 | 米ドル(1USDC=1ドルを目指す) |
| 発行額 | 約730億ドル(2026年10月時点) |
| 準備金の報告 | 大手会計事務所による毎月の報告 |
| 国内での取り扱い | SBI VCトレード(2025年3月から) |
USDCとUSDTの違い
米ドル連動のステーブルコインとしては、Tether社が発行するUSDTが最大の規模を持っています。両者の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | USDC | USDT |
|---|---|---|
| 発行元 | Circle社(米国の上場企業) | Tether社(エルサルバドルに本拠地) |
| 発行額(2026年10月) | 約730億ドル | 約1,840億ドル |
| 準備金の中身 | 現金と米国の短期国債が中心 | 米国の短期国債が中心だが、金やビットコインなども含む |
| 準備金の報告 | 毎月 | 四半期ごと |
| 規制への対応 | EUのMiCAに対応済み | MiCA未対応で、EUの主要取引所では取扱停止 |
| 日本での入手 | SBI VCトレードで購入可能 | 国内の取引所では不可 |
海外取引所での取引量や流動性ではUSDTが上回りますが、準備金の中身や情報開示、規制への対応ではUSDCが評価されることが多く、用途に応じて使い分けられています。USDTについては、USDT(テザー)とは?仕組み・使い方とリスクを初心者向けに解説で詳しく解説しています。
USDCの仕組み
- 準備資産(裏付け資産)
- USDCは発行量と同額の米ドル(銀行預金)や、米国の短期国債などの安全性が高い資産によって裏付けされています。
- 発行元のCircleは、準備資産が実際に確保されていることを示すために、外部の会計事務所の確認を受けたレポートを毎月公開しています。
- ブロックチェーン上のトークン
- イーサリアム(ERC-20)のほか、ソラナなど複数のブロックチェーン上で発行されており、ウォレットや取引所間で容易に送受信できます。
- スマートコントラクトによって発行・管理されるため、発行数や送金履歴がブロックチェーン上に記録され、誰でも確認できます。
- 1 USDC = 1米ドルを目指す価値安定
- 市場の変動があっても、1 USDCを1米ドルとして交換(償還)できることを目標としています。
- 万が一USDCの価格が1米ドルより下がった場合でも、Circleが裏付け資産をもとに償還に応じることで安定性を維持しようとする仕組みになっています。
準備金の中身と毎月の報告
USDCの準備金の大部分は、世界最大の資産運用会社ブラックロックが運用する「Circle Reserve Fund」というファンドで管理されており、主に米国の短期国債などで運用されています。残りは、複数の金融機関に預けた現金です。
Circleは毎月、大手会計事務所デロイトによる確認を受けたレポート(アテステーション)を公開し、準備金がUSDCの流通量を上回っているかを示しています。ただし、これはある時点の資産の状況を確認するもので、会社全体の財務を調べる正式な「監査」とは異なります。とはいえ、毎月の頻度で開示している点は、四半期ごとのUSDTと比べて透明性が高いと評価されています。
Circle社はどうやって利益を得ているのか
USDCを保有していても利息は付きませんが、Circle社は預かった準備金を米国債などで運用し、その利息を主な収益としています。そのため、米国の金利が高い時期ほど収益が増え、金利が下がると収益が減る構造です。また、USDCの普及に協力している米大手取引所コインベースとは、準備金から得られる収益を分け合う契約を結んでいます。
複数のチェーンをつなぐ仕組み
USDCはイーサリアムやソラナ、イーサリアムのレイヤー2(BaseやArbitrumなど)といった多くのブロックチェーンで発行されています。Circleは、あるチェーンのUSDCを消滅させて別のチェーンで同額を発行する仕組み(CCTP)を提供しており、異なるチェーンの間でもUSDCを移動しやすくなっています。ただし、取引所やウォレットによって対応しているチェーンは異なるため、送金の際は確認が必要です。
USDCの特徴・メリット
- 価格の安定性
- 仮想通貨同士の取引や、従来の金融サービスとのやり取りにおいて、ボラティリティ(価格変動リスク)を抑えられます。
- 送金・決済が簡単
- ブロックチェーン上でトランザクションを行うため、銀行システムを介さなくても、ウォレット同士で送金できるメリットがあります。
- 海外送金や高額送金も、従来の銀行送金に比べると手数料を抑えられたり、処理が速かったりするケースがあります。
- DeFi(分散型金融)への活用
- 透明性
- Circleは米国の規制当局との協力を進めつつ、準備金に関するレポートを毎月公開しています。
- こうしたレポートにより、「本当に1 USDC当たり1米ドル相当の資産が保管されているのか」を外部機関が確認している点が、透明性の高い運営として評価されています。
- 規制への対応
- EUの暗号資産規制「MiCA」に対応しているほか、日本でも金融庁の制度に沿って取り扱われています。国や地域のルールに沿って使える点は、企業や金融機関が導入しやすい理由になっています。
USDCのこれまでの歩み
- 2018年:Circle社とコインベースが共同で設立した団体「Centre」のもとで、USDCの発行が始まる
- 2023年3月:準備金の一部を預けていたシリコンバレー銀行が破綻し、一時約0.87ドルまで下落(数日で回復)
- 2023年8月:Centreが解散し、Circle社が単独でUSDCを発行・管理する体制に移行
- 2024年:EUのMiCAに対応し、欧州でも規制に沿った形で発行できるようになる
- 2025年3月:日本でSBI VCトレードが取り扱いを開始
一時的な価格の下落を経験しながらも、規制への対応を重ねることで、金融機関や企業が使いやすいステーブルコインとしての地位を築いてきました。
発行額の推移
USDCの発行額は、2022年に一時550億ドル前後まで増えたあと、2023年3月のシリコンバレー銀行の破綻をきっかけに資金が流出し、同年末には250億ドル前後まで減少しました。その後は規制への対応や米国での法整備を追い風に回復し、2026年10月時点では約730億ドルと過去最高水準にあります。信頼が揺らぐと短期間で資金が流出する一方、信頼が回復すれば再び利用が広がることを示す動きと言えます。
USDCの主な使い道
USDCは、暗号資産の取引だけでなく、次のような場面で使われています。
- 暗号資産の売買:取引所で、ビットコインなどを売買する際の決済通貨として使う
- DeFiでの運用:分散型の取引所やレンディングサービスで、取引や担保に使う
- 国際送金・企業間の支払い:銀行を通さずに、海外の相手へ米ドル建てで素早く送金する
- 決済インフラ:クレジットカード大手のVisaなどが、加盟店や提携先との精算の一部にUSDCを使う取り組みを進めている
- ドル資産の保有:米ドルの預金口座を持たなくても、米ドル建ての資産をデジタルで保有する
日本に住む人にとっては、「日本円からいったん米ドル建ての資産に替えておく手段」や、「海外のDeFiサービスやウォレットを利用するための入り口」としての使い方が中心になるでしょう。
Circle社とUSDCの最近の動き
2025年以降、Circle社とUSDCをめぐっては大きな出来事が続いています。
- 2025年6月:Circle社がニューヨーク証券取引所に上場
- 2025年7月:米国でステーブルコインを規制する「GENIUS法」が成立。2026年10月時点では、当局が具体的なルールづくりを進めている段階
- 2026年7月:米通貨監督庁(OCC)から、国法信託銀行の設立について最終承認を取得
- 2026年9月:決済や金融取引向けのブロックチェーン「Arc」の本番運用を開始。手数料をUSDCで支払う仕組みで、ブラックロックやVisa、SBIグループなどが参加
米国の法律に沿ったステーブルコインの発行体として、伝統的な金融機関との連携を広げているのがCircle社の特徴です。こうした動きが、USDCの利用拡大につながるかが今後の注目点です。
日本でUSDCを買う方法
日本では、2023年の資金決済法の改正により、USDCのような法定通貨に連動するステーブルコインは「電子決済手段」として位置付けられました。取り扱うには「電子決済手段等取引業者」としての登録が必要で、SBI VCトレードが2025年3月4日に国内で初めて登録を受け、同年3月26日から一般向けにUSDCの取り扱いを始めました。
SBI VCトレードでの買い方
- SBI VCトレードで口座を開設する(本人確認書類が必要)
- 口座に日本円を入金する
- 販売所でUSDCを購入する(1 USDCから購入可能)
購入したUSDCは、外部のウォレットへ送ることもできますが、2026年10月時点で対応しているのはイーサリアム(ERC-20)のみです。ソラナなどほかのチェーンのアドレスへは送れないため注意しましょう。また、SBI VCトレードでは2026年3月から、保有するUSDCを貸し出して利用料を受け取れるレンディングサービスも始まっています。
ほかの国内取引所の状況
2026年10月時点で、一般向けにUSDCを取り扱っている国内の取引所はSBI VCトレードのみです。コインチェックが2026年8月に電子決済手段等取引業者の登録を受けていますが、一般向けの取り扱い開始の時期は発表されていません。国内で取り扱いが増えれば、手数料の比較やより便利な使い方ができるようになると期待されます。
販売所での取引は、売値と買値の差(スプレッド)が実質的なコストになります。ドル円の為替レートと比べて割高になっていないかを確認してから購入しましょう。また、日本円とUSDCの交換は為替レートの影響を受けるため、円安のときに買って円高のときに売ると、USDCの価格が1ドルのままでも円建てでは損失が出る点も覚えておきましょう。
購入したUSDCをウォレットで使う流れ
- MetaMaskなど、イーサリアム(ERC-20)に対応したウォレットを用意する
- ウォレットに、送金手数料(ガス代)用のETHを少し入れておく
- SBI VCトレードから、ウォレットのイーサリアムのアドレスへUSDCを出庫する(初回は少額で試す)
- ウォレットからDeFiサービスなどに接続して利用する
外部のウォレットに移したUSDCは、自分で秘密鍵を管理することになります。秘密鍵やリカバリーフレーズをなくすと資産を取り戻せないため、厳重に保管しましょう。
USDCとJPYCの違い
日本では、2025年に日本円に連動するステーブルコイン「JPYC」の発行も始まっています。USDCが米ドルに連動するのに対し、JPYCは1JPYC=1円を目指すため、為替の変動を受けません。日本円のまま送金や支払いに使いたい場合はJPYC、米ドル建ての資産として持ちたい場合や海外のサービスで使いたい場合はUSDC、というように使い分けるとよいでしょう。
注意点・リスク
- 運営会社の信用リスク
- ステーブルコインの価値を裏付けする米ドルや債券などの資産は、Circleなどの運営主体が保有・管理しています。
- そのため、発行元の企業や関連する金融機関に万が一の問題が生じた場合は、価格が一時的に変動したり、償還が難しくなったりするリスクがあります。実際に2023年3月には、準備金の一部(約33億ドル)を預けていた米シリコンバレー銀行が破綻し、USDCが一時約0.87ドルまで下落しました。米当局が預金の全額保護を決めたことで、数日で1ドル付近に戻っています。
- 規制の動向
- 米国のGENIUS法をはじめ、各国でステーブルコインの規制が整備されています。USDCは規制への対応を強みとしていますが、今後のルールの内容によっては、扱いや使い方が変わる可能性もゼロではありません。
- ブロックチェーン利用時の手数料・遅延
- イーサリアムのネットワークを利用する場合、混雑時にはガス代(手数料)が高くなったり、送金が遅れたりすることがあります。送金には、USDCとは別に手数料用のETHが必要です。
- 他のチェーンでも発行されているため、手数料の安いチェーンを選ぶことでコストを抑えられますが、送り先が対応しているチェーンか必ず確認しましょう。
- 為替の変動と凍結のリスク
- USDCは米ドルに連動するため、日本円で見るとドル円の為替レートの影響を受けます。円高になれば、円建ての価値は下がります。
- また、Circle社は法執行機関の要請などに応じて、特定のアドレスのUSDCを凍結することができます。
USDCを使った詐欺に注意
USDCは送金が速く、一度送ると取り消せないため、詐欺に悪用されることもあります。代表的な手口と対策は次のとおりです。
- 偽物のトークン:DEXなどでは誰でも「USDC」という名前のトークンを作れます。Circle社が公表している正規のコントラクトアドレスと一致しているか確認しましょう。
- 投資詐欺:SNSやマッチングアプリで知り合った相手から、「高利回りで運用できる」と偽のサイトにUSDCを送るよう誘われる手口があります。
- アドレスのすり替え:よく使う送金先と見た目が似たアドレスから少額が送られ、取引履歴からそのアドレスをコピーして誤送金させられる手口があります。送金先は毎回すべての文字を確認しましょう。
資産を守る基本的な対策は、ビットコインのセキュリティリスクとは?資産を守る7つの対策を解説も参考にしてください。
税金について
ビットコインなどの暗号資産をUSDCに交換した場合は、その時点で暗号資産の利益が確定したものとして課税の対象になります。一方、国内で取り扱われるUSDCは、制度上「暗号資産」ではなく「電子決済手段」として扱われるため、USDCそのものの売買で生じた損益の扱いが、暗号資産とは異なる場合があります。具体的な扱いは国税庁の情報や税理士に確認しましょう。
USDCに関するよくある質問
- USDCは日本で買えますか?
-
買えます。2026年10月時点では、SBI VCトレードで日本円を使って購入できます。ほかの国内取引所では、一般向けの取り扱いはまだ始まっていません。
- USDCは必ず1ドルの価値がありますか?
-
1ドルを目指して設計されていますが、保証されているわけではありません。2023年3月には、準備金を預けていた銀行の破綻で一時約0.87ドルまで下落しました。通常は1ドル付近で安定していますが、発行元や金融機関のトラブルで一時的に価格が下がる可能性はあります。
- USDCを持っているだけで利息はもらえますか?
-
保有しているだけでは利息は付きません。準備金の運用益は発行元の収益になります。ただし、SBI VCトレードのレンディングサービスなどを利用すれば、USDCを貸し出して利用料を受け取ることができます。貸し出し中は自由に売買できないなどの制約がある点に注意しましょう。
- USDCとUSDTはどちらを使えばいいですか?
-
日本国内で正式に取引したい場合や、透明性を重視する場合はUSDCが向いています。海外取引所での取引ペアの多さや流動性を重視する場合はUSDTが使われることが多いです。一方に資産を集中させず、目的に応じて使い分けるのがおすすめです。
- USDCを日本円に戻すにはどうすればいいですか?
-
SBI VCトレードで購入したUSDCは、同じくSBI VCトレードの販売所で売却すれば日本円に戻せます。外部のウォレットにあるUSDCは、SBI VCトレードのイーサリアム(ERC-20)のアドレスへ入庫してから売却します。入庫できるチェーンを間違えないよう注意しましょう。
- USDCはどのチェーンで送るのがいいですか?
-
送り先が対応しているチェーンを選ぶのが大前提です。手数料を抑えたい場合はソラナやイーサリアムのレイヤー2がよく使われますが、2026年10月時点でSBI VCトレードが対応しているのはイーサリアム(ERC-20)のみです。
- USDCに発行上限はありますか?
-
ありません。USDCは、利用者が米ドルを預けると発行され、米ドルに戻すと消滅する仕組みのため、需要に応じて発行額が増減します。ビットコインのように枚数の上限が決まっているわけではありません。
- Circle社が経営破綻したらUSDCはどうなりますか?
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USDCの準備金は、Circle社自身の資産とは分けて管理されています。また、米国のGENIUS法では、発行体が破綻した場合にステーブルコインの保有者の請求が優先されるよう定められています。ただし、実際に破綻した場合にすぐ全額を償還できるとは限らず、一時的に価格が下がるリスクはあります。
まとめ
- USDC(USD Coin)は、Circleが主導するステーブルコインで、米ドルと1:1の価値を維持することを目指しています。発行額は約730億ドルで、米ドル連動では2番目の規模です。
- 準備金は現金と米国の短期国債が中心で、毎月のレポートで確認されているため透明性が高いとされており、世界中の暗号資産取引所やウォレット、DeFiサービスなどで幅広く利用されています。
- 日本では2025年3月からSBI VCトレードで購入でき、出庫はイーサリアム(ERC-20)に対応しています。
- ただし、運営企業や保管資産に対する信用リスク、為替の変動、規制動向には常に注意が必要です。
ステーブルコインは、仮想通貨市場やブロックチェーン技術を活用するうえで欠かせないインフラのひとつとして注目されています。特にUSDCは高い透明性と規制への対応をアピールしている点が特徴なので、ビットコインやイーサリアムなどと組み合わせて上手に活用すると、価格変動リスクを抑えつつブロックチェーンのメリットを享受できるでしょう。
USDT(テザー)とは?仕組み・使い方とリスクを初心者向けに解説
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